ロングセラー長編小説 北方謙三「水滸伝」 各話あらすじ 第2話 のんびりミカヅキ

どうも、ミカヅキです。

このブログでは、北方謙三著の水滸伝について、あらすじや登場人物、名場面名言などの情報を載せていきます。

水滸伝が大好きという勢いだけで書いているので、自己満足に見えるかもしれないです。そこは勘弁して下さい(笑)


水滸伝とは?

水滸伝とは、腐敗した国を打ち倒す為に戦う人達の物語です。中国北宋末期の時代が舞台なのですが、史実は10%も無いそうです。

中国で書かれた原典がありますが、北方謙三さんが、1から構成し直して、矛盾や不自然な部分が無いように書いた水滸伝の事を「北方水滸伝」と言います。このブログでは、その北方水滸伝での情報を載せています。


これまでのあらすじ

第1話では、王進目線で話が進みました。

禁軍武術師範の王進は、禁軍強化の為、兵士に武術試験を課すべきだという上申書を禁軍上層部に提出していました。しかし、賄賂を集める為だと疑われ、高俅に却下され続けてきました。それでも上申書を提出した王進は、ある日、高俅に呼び出され、自身が叛乱の嫌疑をかけられていると知る。高俅は、上申書の提出を取りやめれば、どうにかしてやると言い、3日の猶予を与えた。王進はそれでも上申書を提出しようとしていたが、部下であり、友人でもある林冲は、3日の意味を危惧していた…。

と、こんな感じです。文章を短く分かりやすくするのは難しいですね(笑)

さて、振り返りはここまでにして、第2話のあらすじに移りましょう。


第2話のあらすじ


高俅から3日の猶予を与えられてから最初の夜、王進は自宅で寝ていたが、庭に人の気配を感じて目を覚ます。庭に出てみると、一昨日街ですれ違った巨体の坊主が待っていた。巨体の坊主は魯智深と名乗り、気を放って王進に気付かせたと言う。

不審に思いながらも、魯智深の話を聞くことにした王進。禁軍を改革するだけでなく、この国そのものを改革しないかと誘う魯智深だったが、王進は性にあわないと言って誘いを断った。魯智深はまた会いましょうと告げて去っていった。

翌日、いつもの様に兵の訓練を終えた王進は林冲に体術の稽古を頼まれる。稽古中、林冲に今夜中に開封府から逃げてくださいと言われる。禁軍が王進の事を捕らえようとしていると教わるが、何も悪い事をしていないと言って断る。しかし、母も捕えられると知ると開封府から逃げる事を決意する。

その夜、準備を終えた王進と母は、迎えに来た林冲に連れられて開封府郊外までの脱出に成功する。林冲が用意していた馬に母を乗せ、王進は林冲に別れを告げる。再会を信じ、歩き始める王進だったが、王進の目からは涙が流れていた…。


と、ちょっと悲しくもある話。魯智深の正体や、王進が捕縛される事を知っていた林冲など、謎は多いです。王進の旅はこの後どうなるのか、とても気になっていたのを思い出しました。


第2話の感想

魯智深と王進の会話が印象に残っています。難しい会話をしているようなのに頭の中に様子が浮かんできてすらすらと理解が出来ました。武術家だから、国の改革は性にあわないと言った王進は実は不器用な性格なんだなと思った。

林冲との別れのシーンは感動的。堅物そうな王進が涙を流すなんて林冲は余程の友人なんだろな…。


名言・名場面

  • 王進「私は、禁軍の改革に、微力を尽す。それは、たまたま私が禁軍武術師範だからだ。私が農夫ならば、ひと粒の麦を立派に実らせるために力を尽すだろう。人は、それぞれにそうやって生きていけばよいと思う」

魯智深と王進の会話でのセリフ。王進の真面目だが不器用な性格が分かるセリフですね。こんな人こそ今の禁軍には必要なのに…。

  • 王進の母「きちんと生きたからです。別れる時涙が出てしまう友を持てたのは、あなたがきちんと生きたからですよ、進」

林冲と別れた時に王進が泣いているのを察した王進の母のセリフ。水滸伝の名言って自分の価値観が変わってしまいそうな程の深さがあると思いました。ミカヅキは別れて泣く様な友は居るのだろうか…。きちんと生きよう…(笑)


登場人物

  • 王進…禁軍武術師範。禁軍改革を目指していたが、叛乱の嫌疑で捕らえられようとした所を林冲の助けで開封府から逃げる事に。母とともに西の延安府へ向けて旅を始める。林冲とは良き友。
  • 林冲…禁軍武術師範代。王進の友であり、部下でもある。槍の達人で王進とも互角に戦える実力を持つ。王進が捕まる事を事前に知っており、王進の開封府脱出を手助けする。新婚で張藍という妻と二人暮らし。
  • 魯智深…巨体の坊主。その見た目から、「花和尚(かおしょう)」と呼ばれている謎の人物。王進に国の改革をしないかと誘うが断られる。
  • 高俅…禁軍大将。帝に気に入られ新任した汚職軍人。賄賂や不正を行っている。王進の上申書を却下し続け、叛乱の嫌疑で捕らえようとする。
  • 呂栄…京兆府の将軍。高俅の謀略で叛乱の罪を着せられ捕縛された。
  • 王進の母…本名は不明。かなり高齢と思われるが、王進の事を大切に考えており、王進と共に西へ向かって旅を始める。


用語解説

  • 禁軍…近衛軍。都や帝を守る為の軍隊。
  • 開封府…宋の都。
  • 延安府…開封府からはるか西にある都市。王進達の旅の目的地。